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VERSUS

DSC_4691
D700 + Ai Af Nikkor 35mm F2D


ありふれた幸せを描く、ありふれていない物語

先日の直木賞受賞会見が話題となっていますが(私は田中氏の言動は大いに結構だと思っています)
池井戸潤氏もかつて本作でノミネートされ、受賞を逃しました。
恥ずかしながら『下町ロケット』でこの作家の名前を知りましたが、一冊読んでみたら意外と面白くて
読書家のこの方に勧められた『空飛ぶタイヤ』を読んでみました。

何とも牧歌的なタイトルですが、一言で云えば、タイヤ脱輪事故にさまざまな形で関わる人たちの群像劇です。
組織という集合体の理不尽な強さ、それに対する個人の完膚無きまでの弱さ。
それはたぶん実際に経験したことのある人しか分からない、大きくて冷徹な高い壁なのかもしれません。
私たちは意識をしているしていないに関わらず、自分の所属する組織に護られ、同じ組織内の人間同士で庇い合っている。
その防護バリアはふとしたきっかけで消えてしまい、消えた瞬間に護られていたのだと気付いて、焦る。

正直に言えば、よく出来すぎた勧善懲悪の話を読むと、小説(フィクション)の都合の良さを思わずにはいられません。
しかし、私はこの小説には、ふたつの真実が含まれていると思います。
ひとつは、運命に負けないためには自分自身がへこたれず歩いていくしかないということ。
そしてもうひとつは
しかし自分の力だけでは得てしてどうしようもなくて、根本的に打破するきっかけはたいてい他人によって与えられるということ。
そして、このふたつの真実は本作を牽引するふたつの車輪であると思います。

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