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THE AMAZING SPIDER-MAN(邦題:アメージング・スパイダーマン)



前3部作を経てのリブート版、新生『アメージング・スパイダーマン』を観てきました。
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青春にも、時代性がある

3部作を経て次作を製作しようと思ったらサム・ライミ監督が降板してしまい、今回キャスト・監督ともに一新して作られた、いわゆるreboot版である。主演はThe Social Networkでの助演が記憶に新しいアンドリュー・ガーフィルド、監督は大抜擢らしいマーク・ウェブ。この監督については名前すら知らなかったが、ミュージックビデオ(MV)出身であることを後で知って納得した(この点については後述する)。MARVEL作品映画のファンとして当然サム・ライミ版3部作を劇場で観てきたが、結論から言えば、私はリブート版の方が好きである。いま振り返ると、サム・ライミ版も古典的であるという意味においてはよかったが、マーク・ウェブ版を観てしまうと、あらゆる点において野暮ったい映画だったということに気付いてしまう。

このリブート版の最大の特徴は「現代的」であるということだと思う。スタイリッシュとも少し違っていて、時代に合ったテイストを加えていると言うのが正確だろうか。この辺りの"いまの空気"の取り込み方、その匙加減のセンスの良さは、MV出身の監督に共通しているような気がする。たとえば、デヴィット・フィンチャー、スパイク・ジョーンズ、ガイ・リッチーなど、個人的にMV出身の監督の作品は結構好きである(限られた枠内で、最大限の印象を残す技術に長けているように思う)。話を戻すと、現代的テイストを加味するだけで、この手の物語は印象がずいぶん変わるのだと思った。振り返れば、前3部作はどこか80sっぽいテイストで、トビー・マグワイアの風貌も相まって、ピーターの垢抜け無さは一昔前の解釈をヴィジュアル化したものだった(たとえば、テレビで80年代の日本人を観たとき、自分もその時代に生きていたはずなのに感じてしまう時代錯誤的な印象と似ている)。それに加え、ヒロインを演じたキルスティン・ダンストのルックスにしても、脚本にしても、作中全体の雰囲気にしても、3部作を通して野暮ったさを拭えない印象だった。それが意図していたものか分からないし、そういうものだと言われればそうかもしれないと頷くしかないけれど。

そういう漠然としたモヤモヤを軽く吹き飛ばしてくれたのが、本作である。まず、ピーター・パーカーを必要以上にウダツの上がらないオタクではなく、自己チューでもあり繊細な部分も持ち合わせている、いかにも今時の現代っ子として描いているのが良いと思った(そして、その雰囲気にアンドリュー・ガーフィルドがぴったり合っている)。ヒーロー活動中に割と躊躇することなく自分の素顔を晒したり、敵を待つ間スマホでゲームをしていたり、新シリーズのヒロインとなるグウェンに対しても、正体を明かすか悩んでいたのも束の間、あっという間にカミングアウトしてしまう。そうかと思えば、一度は身勝手に反故するものの、最後にはきちんと約束通り卵を買って帰って来る優しさもある。ピーターの見せるそういうノリの良さ、軽さ、優しさ、そのどれもがティーンエイジャーらしい繊細さに溢れていた。技術的にも(特にビルの間をスウィングして移動するシーンにおけるカメラアングルの進化は、目を見張るものがある)、作品のセンスにしても、2012年という時代に合った味付けで焼き直されていて、いまの気分にぴったり合っている。サム・ライミ版のときに感じたような「新しいのに、何となく古くさい」という違和感は、まったくなかった。

とりわけ私が気に入ったのは、雨の日の別れの後、授業に遅刻してきたピーターがグウェンと寄りを戻そうとするシーンだ。約束を破ってもやはり一緒に居たいという意思を伝える重要なシーンだが、直截的な言葉ではなくボソっと伝える。それをグウェンは薄い反応で流しつつも、しっかり受け止める。何だかいまどきの子らしい素っ気なさと、でも向こう見ずな純粋さもあって、もういい歳をした私でも少しばかり胸キュンしてしまった。映画のテレビ宣伝で「飛び出す青春映画」と評していた人がいたが、あながち間違っていないと思う。ただ、同時に恐ろしいと思うのは、10年経つと(ちなみに、サム・ライミ版の第一作目が公開されたのが2002年である)映画に時代錯誤を感じてしまうようになってきているということである。ケータイにせよ、家電にせよ、カメラにせよ、デジタル技術が介入した時点で、時間の流れは宿命的に早くなってしまうのかもしれない。時代の感覚に合わせて作品を焼き直すことの意義と、時代性を失ってゆく作品の宿命、その両方を考えさせられる一本でもあった。そんなにシリアスに考えて観る映画でもないけれど。

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