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シン・ゴジラ



庵野秀明監督による、『シン・ゴジラ』を観てきました。
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庵野秀明氏の全身全霊をかけた一本(必見)

私のレビューは、気に入った映画だと結論を急ぐ傾向があることは承知しているが、今回も結論から言おう:これを読んだ次の日の仕事帰りに、映画館に寄って観るべきである。できれば、週の始めの月曜日か、中だるみする水曜日がベストだ。また、お子さまを連れて観に行くような映画でも、特に映画好きというわけでもない恋人とデートの消化試合として観に行くような映画でもない。本作は、庵野氏が全身全霊をかけた一本だ。

ゴジラ(第一形態)の登場から物語が始まり、最終形態にまで進化したゴジラの活動を止めるために、関係者が奮闘するというシンプルな話だ。しかし、主人公の矢口蘭堂(長谷川博己氏)が内閣官房副長官であることから、ただ「怪獣をやっつける」という単純な構造ではない。主要登場人物はほぼ政府関係者と自衛隊トップの面々で、日本の危機管理のプロセスを同時に描いている視点が本作の肝だと思う。この視点があるために、非常にリアリティのある脚本になっている。変なオタク臭や悪ノリは皆無で、ゴジラに関する設定にも(素人でもすぐに思い付くような)破綻はない。日本人が好む情感のツボがきちんと押さえられており、誰がどう観てもハリウッドの真似事ではない、純国産の特撮パニック映画である。俳優陣のチョイスも渋い上に(特に、上掲画像にある矢口PJの面々)、技巧派ばかりなのでドラマとしても安心して観ていられる。また、ものすごい数の俳優がチョイ役で出てくるので"ウォーリーを探せ"的な愉しみ方もできる。作戦開始時に「ヤシマ作戦BGM」が使用されているなど、全体的にエヴァンゲリオンの雰囲気に似通っている印象もあるが、それは好みの問題でもあるし、みみっちい瑣末なことだ。庵野作品にしては珍しくエンディングもきちんと収束させており、なおかつカタルシスさえ感じさせる。私が最も鳥肌が立ったのは、ゴジラを転ばせるために無人運転の電車をぶつけるシーン。多少引っ掛かったことは石原さとみ嬢の帰国子女的ジャパニーズのみだが、これは設定上受け入れなければなるまい。総括すると、非常に完成度の高いエンターテイメント作品だった。

総監督の庵野秀明氏は現在56歳。私の愛読書の1つである『監督不行届』(奥さまの安野モヨコ氏が庵野氏との生活について描いたエッセイ漫画、2005年単行本化)を読んでいても分かる通り、筋金入りの特撮フリークである。ゴジラ映画を自分の手で作ることは1つの大きな夢だったのだろうと思う。1995年(監督35歳時)に新世紀エヴァンゲリオンがテレビ放映されて一躍世間に名が知られるようになってから、21年。それでも、自分の夢のひとつに到達するのに、20年以上かかったということだ。その間、少しも自分の中の軸がブレることなく、不貞腐れることもせず虎視眈々と待ち続け、そのチャンスが巡ってきたときは確実に掴み取って成果を残す。何という真っ直ぐな執念であろう。映画自体の内容も然ることながら、一人の職業人が描き続けた夢の実現を見ていることに深く感動させられた。

私はこの作品を観て、映画ファンでよかったと密かに心震えた。こんなにインパクトを受けた映画は久しぶりのような気がする。必見です。

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