PREV | PAGE-SELECT | NEXT

≫ EDIT

FANTASTIC BEASTS AND WHERE TO FIND THEM(邦題:ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅)



話題の新シリーズ、『ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅』を観てきました。
公式HPは → → → コチラ



レガシーの有効利用

2016年冬の話題の映画である。新シリーズの主人公は、ハリー・ポッターたちが魔法学校で使っていた教科書を著した魔法生物学者、ニュート・スキャマンダー。ハリポタの原作者J.K.ローリング自身が脚本を書いているということでも話題となっている。監督は、『ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団』以降の5-8作目から引き続いてデヴィッド・イェーツ。ハリポタシリーズでは、イェーツ監督に変わってから作風が急激にシリアスかつダークになったと言われたが、本作もほぼ同じテイストだと思っていただいてよい。タイトル通り魔法動物が出てくる点はお子さまにもキャッチーだが、主要登場人物が全員大人であることや物語の内容から、"大人向けのハリポタ"という印象である。

さて、物語はニュートが米国に降り立つところから始まる。彼はいわゆる"フィールドワーク大好き系"学者で、世界を飛び回ってさまざまな魔法動物を保護しては持ち歩いているトランクのなかで飼育している(トランクのなかは4次元ポケットのようになっている)。小道具にトランクが出てきたらお約束として他人のトランクとの入れ違いがあるわけで、そこからいろいろな騒動が巻き起こるという話である。主要登場人物は上掲画像の4人:堅物のティナとマイペースなクイニーの姉妹、そして唯一の非魔法族のジェイコブ。シリーズ1作目(本作は5作シリーズの予定)なので、ニュートたちの背景や魔法動物の説明にかなり時間を割きつつも、NYに起きている不可解な1つ事件の発生から解決も同時にきっちりと描いている。そのぶん、ハリポタ映画に比べてやや複雑で難しい話になっているが、観客を自然と物語へ没入させていくストーリーテリングはさすが世界的ベストセラー作家の手腕だ。米国魔法界では非魔法族に「No-Maj=ノー・マジ」と身も蓋もないストレートな呼称を使っていたり、魔法界の存在を知られないようにするルール遵守に固執していたりと、英米間の文化の違いをさりげなく溶け込ませているのも巧みだった。また、私がハリポタシリーズで最も好感を持っていたのは徹底的に英国人俳優に拘ったキャスティングだったが、新シリーズでは敵役にジョニー・デップ(本作でもちょっとだけ出演)を配するなど、今後のキャスティングに期待が持てそうだ。

2012年に開催されたロンドンオリンピックは、そのレガシー(遺産)の使い方が素晴らしいと、開催国の見本のようになっていると聞く。本作を観て一番最初に思ったのはこのことで、本作も然りである。ニュートが割と冒頭で唐突に呪文を唱えても何も不思議に思わないし、果てには「オブリビエイトしないと」と動詞化されてもすんなり受け入れてしまえる。これは、ハリポタ・シリーズを10年かけて完結させたレガシーを活用していることに他ならない。日本では何かがヒットするとすぐに二匹目のドジョウを狙いに行きがちだが、英国人は映画でも遺産に値するものを時間をかけて作り出し、それを次の新しい枠組みの中で有効活用しているわけだ。世界的ヒット確実のメジャー作品だが、本作でも英国映画のタフさと知恵は健在である。無論、そんな小難しいことを考えなくても、単純に面白くてワクワクさせられて、シリーズ2作目が早くも観たくなるのだけれど。2作目は2018年公開予定である。

| 映画レビュー | 23:15 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

COMMENT















非公開コメント

TRACKBACK URL

http://pltr0.blog37.fc2.com/tb.php/1689-c24e05f5

TRACKBACK

NEWER | PAGE-SELECT | OLDER