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La La Land(邦題:『ラ・ラ・ランド』)



ミュージカル映画として久々の大ヒットを飛ばしている、『ラ・ラ・ランド』を観てきました。
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言ってみれば、現代的センスで作られた往年のハリウッド映画

今年のアカデミー賞で前代未聞の大事件が起きたことはご存知の方も多いと思う。歴代最多14ノミネートを獲得した『ラ・ラ・ランド』は主演女優賞、監督賞と順調に受賞し、作品賞受賞が発表されたときは歓喜に沸いた。関係者たちが興奮しながら受賞コメントをしているときに背後が騒がしくなり、実は作品賞は『ムーンライト』であったということが判明する(コチラを参照。間違いが判明するのは2:40すぎぐらいから)。アメリカ人らしい軽いノリで乗り越えようとしているが、端から見ていても気の毒極まりないシチュエーションである。そういうわけで、今年のアカデミー賞レースで話題を独り占めしていながら、肝心の作品賞を取り損ねた不運の作品である。

閑話休題。観終わった後の感想はイマイチだった。舞台はロサンゼルス、売れない女優の卵と売れないジャズピアニストの恋愛を、冬→春→夏→秋→5年後の冬と、季節をめぐって描いたミュージカルである。ミュージカルパートはそれほど多くなく、しかも唐突感が抑えられているので、ミュージカル映画に拒否反応を起こすような方でも観やすいはずだ(しかし、冒頭のAnother Day Of Sunのように脈絡もなく歌い出すことの開放感と高揚感こそミュージカル映画の醍醐味だと私は思うが)。主演ふたりの歌と踊りは正直素人感は否めないが、学芸会かと失笑するレベルではない。問題なのはラブストーリの方で、これが実にありきたりでチープ。技巧派と言われる主演ふたりの演技のせいですんなり観られてしまうが、内容・台詞ともに月9ドラマ並である。そういうわけで、主人公のセブとミアに自分の過去の恋愛を重ねてキュン死してしまう人がいるのは理解できるが、逆にこの脚本ではドン引きしてしまう人もいるだろうとも思う。残念ながら私は後者で、観賞後の感想は「白×黒コンビのストレートチップ(上記画像で男性が履いている靴)はやはり格好いい。欲しい」で、それぐらいしか印象に残らなかった。

それがなぜだろう。観賞後一週間ゆっくり咀嚼していたら、噛めば噛むほど良い映画ではないかと思うようになった。おかしな表現だが、すごく"映画っぽい"映画だと。古典的なロマンス、それを巧みな演技で披露する男優と女優、華やかな舞台、心躍る音楽、美しいシーン - 往年のハリウッド映画が持っていたキラキラ感がすべて詰め込まれている。チャゼル監督は、CGバリバリまたは際どいテーマを描くことで話題を集めようとする昨今の映画業界の流れに逆らうように、たぶん敢えて"往年の王道ハリウッド映画"を作ろうとしたのだろうと思う。無論ファッションと同じで、現代的なセンスで再解釈して。その意味では、ふたりの恋愛にどっぷり浸かれるか否かは置いておくとして、映画のタイトル通り「現実から遊離したような」非日常的な気分を味わえる。落ち着いて鑑賞できて、観た後に少し豪華な気分にさせてくれる映画は、昨今とても珍しいのではないだろうか。しかし一方で、どんなに現代的センスで焼き直したとしても、オリジナルではない。個人的には、そこが作品賞をとれなかった最大の要因ではないかと思う。

さて、このレビューは本作のサントラを聴きながら書いたが、これが実に素晴らしい。私はよく映画サントラを聴くし、お気に入りもあるが(たとえばShineのサントラは長年愛聴している)、ミュージカル映画のサウンドトラックではbest of bestではないだろうか。むしろサントラから入り、気に入ったら映画を観に行くという流れでもよいとさえ思っている。

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