PREV | PAGE-SELECT | NEXT

≫ EDIT

From Onomichi to Matsuyama 2017: being communicative

DSC00492
α7RII + FE 12-24mm F4 G

憧れだった坂道の街


大林監督作品のファンというわけではないですが、尾道は一度は訪れたい憧れの街のひとつでした。
そして実際に訪れてみたら、想像以上にお気に入りとなり、予想以上に面白い体験をして、期待以上に印象深い旅になりました。
キーワードは、私が最も苦手としている分野のひとつ、Communicationです。


DSC00382
α7RII + FE 12-24mm F4 G

広島空港に着いてからバスとローカル線を乗り継ぐこと1時間ほど。ようやく降り立った尾道は、『ブラタモリ』で放送していた通り、海と山に挟まれた場所でした。駅前は広いロータリーのある典型的な地方都市の風景ですが、横断歩道を渡って数十歩歩けば目の前は尾道水道、振り返ると坂道の街たるゆえんの急斜面が迫ってきます。なるほど、確かに平地部分はとても少なく、街は細くて長いカーペットのような印象です。しかし、この日の尾道は暑かった。荷物を預けるために、まずは宿泊先に向います。

DSC00390
α7RII + FE 12-24mm F4 G

その宿泊先が、ココ。およそホテルには見えませんが、2014年にオープンしたOnomichi U2というオシャレ商業施設で、このなかにサイクリスト用のホテルがあるのです。オープン当初はメディアへの露出も多く、関東住まいでサイクリング門外漢の私でも存在は知っていました。マイ自転車を客室内まで持って行けるというのが最大の売りですが、ただの観光客も快く受け入れてくれます。駅から右(西)へ徒歩で10分ぐらいでしょうか。上述の通り、細長い通路のような尾道の街は基本行き先が右か左しかないので、この道案内でも必ず辿り着けます。Onomichi U2の内部については後ほど。

荷物を預けたら、尾道へ来た最大の目的(再三言っていることですが、我々の旅には常にいくつかの明確な目的が設定されています)を遂行するために目的地へ向かいます。

DSC00395
α7RII + FE 12-24mm F4 G

水道を挟んで斜向いには向島があり、渡船が往来しています。完全な車社会の土地で育ったせいか、日常生活のなかに路面電車や渡船がある暮らしに"無いものねだり"の憧れのようなものを抱いています。実際に毎日使うようになれば、何の感慨もなくなるのだろうけれど、それはそれとして。帰り道、夕方に渡船を撮ったのですが、制服姿の高校生たちが自転車を構えて渡船の到着を待つ後ろ姿は、私の目には妙にノスタルジックに映りました。そして、後に嫌というほど話すことになりますが、ご覧の通り尾道はサイクリストの聖地のひとつであります。

DSC00398
α7RII + FE 12-24mm F4 G

尾道は、林芙美子の縁の地としても知られています。目的地へ行く途中で見た、代表作『放浪記』をモチーフした芙美子像。

DSC00498
α7RII + FE 12-24mm F4 G

尾道駅の東側には尾道本町通り商店街という長いアーケード商店街が伸びており、その限りなく出口に近いところに目的地があります。これは、道中で見つけた、有名らしいオバQの木馬。デパートの屋上などで見かける硬貨を入れると一定時間動くという、あれです。昭和40年(1965年)にできたもののようで、いまは動きませんが大切に保存されていました。

DSC00400
α7RII + FE 12-24mm F4 G

目的地に向かうため、この商店街の端から端までほぼすべて歩きましたが、先のオバQ木馬だけでなく、趣きのある銭湯をリメイクした雑貨店があったりと歴史を感じさせるものの、シャッターを下ろしている店も多く、寂びれた印象。それが逆にフォトジェニックにも感じさせたりもするのですが、超広角は使いこなすのがとても難しい。街角スナップどころではなく、パースがつくと頭では分かっているのに撮るときは適当、水平すらきちんととれません。

DSC00404
α7RII + FE 12-24mm F4 G

さて目的地、尾道デニムに着きました。名前と看板の通りデニム屋さんで、ここを訪れたいために尾道を選んだということもあります。尾道デニムの凄いところは、実際に人が履いて味を作り出すということです。ダメージ・ジーンズといえば製作の過程で人為的にダメージを施すのが普通ですが、その意味ではここのジーンズは手間暇をかけた非常に贅沢な作り方だと言えます。

そして、新品のジーンズを履き込んで育てるのは、尾道在住のさまざまな職業の方たちです。この店のオリジナル・ジーンズを2本支給された尾道人は、1本ずつ隔週で交互に履いていくそうです。一週間履いたら店が回収し、スペアのもう1本を次週に履く。その間に回収された1本が翌週のためにクリーニングされるというサイクルを約一年間続けます。その結果物が、店頭に並ぶというわけです。つまり客は、ときに新品の数倍の値段を払ってユーズドを買うことになります(もちろん、おかしな表現ですが、"誰も履いていない新品"を買うこともできます)。

DSC00406
α7RII + FE 12-24mm F4 G

ここで出てくるのが冒頭で挙げたキーワード、communicationです。どうやら尾道の人たちは総じてcommunicativeな人が多いようで、このデニムも根底には人と人を結びつけたいというコンセプトがあると思います。岡山〜広島エリアは国産デニムとして有名ですが、ブランディングに躍起になっているような店も多く、実際に行ってみると「東京で売ってるものを買えばいいや」となってしまいました。現地に赴いてでも買ってみたいと思ったのは、尾道デニムの人たちの独自の思想と、快く協力した地元の人たちの心意気に共感したためです。もっと簡単に云えば、単純に応援したいという気持ちでしょうか。

履いている人々の職業は多種多様で(私が行ったときは、漁師、サイクルショップ店員、大学教員等々の履いたジーンズがありました)、商品にはサイズ、値段の他に、履いていた方の職業が記されています。その職業によって色落ち具合やダメージができる場所が異なるし、一人が履く2本も生活のなかで実際に履き潰されていくから、1本として同じものが存在しないというわけです。そのことはサイズについても然りで、いくらダメージ具合が気に入っても履いていた方と全く違う体型であったら悲しい哉、諦めなければいけません。服なら当然有って然るべきサイズ展開がないためです。逆に、ジャストサイズでもダメージ具合が気に入らなければ、敢えてユーズドを買う意味がなくなってしまう。予めネットで全品揃えを確認することはできないので、お買い上げに至ったら、まさに「邂逅」と言ってよいレベルです。

DSC03824
RX1

とても気さくな店員さんと相談しながらいくつかの候補を何度も履き比べ、それでも迷ったので合間に尾道ラーメンを食べに出るブレイクを入れ、最終的に情熱を持つ若き建築業の男性が履いていた1本を引き継ぐことにしました。奥さんのアドバイスもあり、せっかく買うなら自分とは全く別の仕事と生活をしている方のものにしようと。確かに、このジーンズが発する"現場感"は私の日常生活では到底出せません。

実は、誕生日プレゼントとして自分自身に買うのだと伝えると、店員さんは大層感動してくださり、せっかくの縁だからとこのジーンズを履いていたご本人にメッセージを頼まれました。この手の"人の輪の中に入る"という行為に恥ずかしさや苦手意識を持っているため、その反動でついつい盛り気味の感動メッセージを書き上げた後、本人に見せたいからと履いている写真も撮られ、買い物終了。このようにして、尾道での第一の目的を達成。こういう体験はネット通販では…なんて野暮なことは言うつもりはありませんが、買い物とはそもそも人と人の間で行われる交換行為であり、communicationなんだよなと改めて考えました。

さて、この合間にも、そして買い物の後にも、想像もしなかった次のcommunicationが待ち構えていたのですが、それはまた別の記事で。つづく

| 旅行記 | 23:15 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

COMMENT















非公開コメント

TRACKBACK URL

http://pltr0.blog37.fc2.com/tb.php/1768-8ba9030d

TRACKBACK

NEWER | PAGE-SELECT | OLDER