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From Onomichi to Matsuyama 2017: being communicative 3

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α7RII + FE 12-24mm F4 G

千光寺の邂逅


尾道デニムを後にした我々は千光寺に向かいました。
千光寺山の中腹にあるお寺で、尾道といえば此処という、云わばランドマークです。
千光寺といえば、迫り出した朱色の本堂と左側手前にある玉の岩が有名ですが
山頂までのロープウェイから撮って一枚に収めることができました。超広角の面目躍如。

さて、ここでどんな邂逅があったかと言いますと



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α7RII + FE 12-24mm F4 G

その前に、千光寺の話を少し。我々が到着したときはちょうど参拝時間が終わる頃合いで、喩えるなら閉店間際に駆け足で買い物を済ませたといった具合でした。千光寺山の頂上には展望台があり、ここから尾道水道を一望することができます。手前が尾道の街で、水道を隔てた向こう側が向島(むかいじま)です。向島側には造船工場が建ち並んでいて、尾道-向島を定期船が往来しています。私はずっと関東平野暮らしなので海といえば"わざわざ行く場所"という認識ですが、ここに暮らす人たちは生活の一部に組み込まれているということがよく分かります。どこで生まれ育ったかということは、やはりどうしたって自分の感性や価値観に影響を及ぼすのだろうと、この景色を見てしばし考えました。

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α7RII + FE 12-24mm F4 G

千光寺は尾道の一等観光地ではありますが、参拝を除けば、文字通りsightseeingくらいしかアクティビティはありません(それは至極真っ当なことですが)。展望台から千光道まで続く「文学の小道」なる坂道(尾道ゆかりの作家・詩人の句碑が点在している)をくだっていると、登ってきた初老の男性に話しかけられました。浅黒い肌で、ノースフェイスやモンベルで身をかためた格好。休日にトレッキングに勤しむ地元民の方という印象。彼は突然私の首に提げられていたRX1を指差し、「これ、いいカメラだねぇ」と人懐っこく指摘してきたのです。

こういうとき、東京人は概ね愛想だけはよいので、「ええ、まぁ、ありがとうございます」のように軽い会釈と返答だけして、立ち止まったりはしません。私もそう対応したのですが、困ったことに「これで写真を撮ってあげるよ」と返されました。これは、予想しなかったリアクション。一瞬逡巡したものの、空気を読むことを至上とするのが東京人でもあります。おじさんは悠然と手を差し出してRX1を求め、私は「引ったくられはしないだろうか」と内心怯えながらも手渡しました。

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α7RII + FE 12-24mm F4 G

ここでそのまま「ハイ、チーズ」で一枚撮って終わったなら微笑ましい旅の記憶であり、ひとつの記事にするほどではないはずです。しかし、おじさんはRX1を手にするとしばし自分の手に馴染ませた後(無論、私に操作の説明を一切求めることもなく)、「じゃあ、少し上から下ってきてみようか」とディレクション。ここに、夫婦モデル撮影@千光寺が始まったのです。人々が通り過ぎて行くなかで「自然な笑顔じゃないなぁ」とか「もっと寄り添ってみようか」とか、「ハイ、チーズ」の合図もなく撮られ、おじさんが気に入らないと元位置まで戻され再度ウォーキング。そんなことが3回ほど続きました。分水嶺を越えたら、恥ずかしさは吹き飛んでいました。

我々というよりは、おじさんが満足して撮影終了。「では、さようなら」とならないのが、communicative尾道の魔法です。RX1を返されるとき、今度はαR2IIにマウントされた12-24を目ざとく見つけ、「これ、広角だろ。いかにも高そうでいいレンズだなぁ」と、こちらも触りたそう。ここまで踏み込まれると、心を閉ざすことを端から諦めてしまいます。どう見ても悪い人ではなさそうだったので、どうぞと手渡すとしばし真剣な眼差しで検分した後、「いいところ教えてやる。ついて来い」と、さらに予想しない展開に。

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α7RII + FE 100mm F2.8 STF GM OSS

「こんなに良いレンズを持っているなら、ここから撮らなきゃな」と教えてくれた場所は、立ち入り禁止の危険な場所ではなかったものの、普通の観光客なら絶対に辿り着けない所でした。ふたつ上の写真では水道をボートが走っていますが、このシーンを撮れと指示したのもおじさん。ご丁寧に、シャッターチャンスを稼ぐために連射にしろと、アドバイスも頂戴しました。

夫が見ず知らずの人と並んで話しているのが余程珍しく面白かったのか、奥さんがこっそりスナップを撮っていました。そう、私は親に厳しく躾けられた子供のように(私自身はそんな教育は受けていないのですが)、「知らない人には話さない、ついていかない」人なので、自分でも内心驚いて、でも愉しんでもいました。無論、内心では「早くこの時間が終わらないか」と願っていたことは否定できないのですが。自分のとっておきのスポットを旅人に教えられて満足したのか、ここでおじさんとはお別れ。結局30分くらい一緒にいたのではないかと思います。

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α7RII + FE 12-24mm F4 G

そんなわけで、千光寺に着いたときは文字通り店仕舞いをしていました。賽銭箱付近に設置していたいろいろなものを忙しなく片付けているエプロン姿のおばさんたちに「ごめんね〜もう終わりなんですよ〜」などと言われると、お寺の格式も何もあったものではありません。でも、はるか昔から尾道の街を見下ろしてきた地元の守護神なのだと妙に腑に落ちました。結局、参拝はものの1分で終了。

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α7RII + FE 100mm F2.8 STF GM OSS

普段の私は、下手をすれば奥さんとしか話さず一日が終わります。この日はいさかか出会いが多すぎたし、知らない人と話しすぎました。帰りはロープウェイではなく足で下りましたが、それはこの旅の二つ目の目的を果たすためです。それはまた別の記事で。

| 旅行記 | 21:16 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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