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Listen to His Voice: GREEN MIND 2011

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GF1 + LUMIX G 20mm F1.7(妻撮影)


宮崎行きの発端

そもそもなぜハイシーズンにわざわざ宮崎まで行ったのかと言えば、理由は盛岡のときと同じでした。
しかし、ひとつだけ違うのは、今回は宮崎で"なければならなかった"ということ。

秦くんは2009年に弾き語りツアーを行ったのですが、そのライブアルバムBEST OF GREEN MINDを買って以来
次にGREEN MINDを行うときには行きたいと思っていました。その機会は早々にやってきたのですが、今回は宮崎のみの1公演。
なぜ宮崎が選ばれたのかといえばその理由はシンプルで、彼の故郷だから(日南市の生まれ)。
口蹄疫や新燃岳の噴火など受難続きだった故郷のために、何か自分が出来ることをしたかったから、とライブで本人が語っていました。


ダメもとで抽選に参加してみたら、思いがけずチケットが取れてしまったので大変である。これが数ヶ月前のこと。そして、どうにかフライトや宿を確保して、ライブ前日に降り立った宮崎は、南国のイメージを覆す雨。嗚呼、盛岡ライブのときと同じだ(盛岡のときは当日大雪だった)と、私たちは一抹の不安を抱く。自分たちに理由があるかもしれない可能性は露ほども考えず、「秦くんは、雨男?」と眉をひそめて囁き合いながら。夜になってホテルの窓に耳を押し当てると、リハをする秦くんの声が微かに聴こえる。どうか明日は、快晴と言わないまでも、合羽の要らない天候でありますように。

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K-7 + FA31mm F1.8Ltd


昨夜の心配が杞憂に終わって胸を撫で下ろしたのも束の間、私たちは宮崎に溢れる力強い太陽の光に驚かされるのだった。これは夏?と思うしかないほどの、雲に遮られず直接照りつける光、吹き出す汗。今日のライブは野外で行われるので、日焼けすることは必至である。動物園からホテルに戻ったらすでに開場時間を過ぎていたので、急ぎ足で隣接する野外催事場へと向かうことにする。いよいよ、この旅のメイン・イベントが始まるのだ。

広々とした芝生には、すでに大勢の人が座って開演を待っていた。芝生の広場は、ステージ近くのAゾーン(ファンクラブ会員用)と残りの約4/5ほどを占める一般発売向けのBゾーンに分けられている。さっそくAゾーンに入り周囲を見回すと老若男女が混ざっており(ファンクラブに入るのに年齢など関係ないのだね、とも思う)相変わらず秦くんファンの幅の広さを感じさせる。一方、Bゾーンの方は広々とスペースをとってあるために、後ろの方は皆さん自由気ままの連休中日である。端の方でビニールシートを広げて、ピクニックにでも来たように読書しているサングラスをかけた女性。タオルを目に当てて、直接芝生に寝そべっている若い男性たち。キャッチボールのようなことをしているカップル、キャッキャと走り回るチビッ子。何とも牧歌的で光景で、秦くんが登場しなければ"日曜日の公園"と言われても信じてしまいそうである。秦くんを一目でも見ようというようなガツガツ感もなく、「よく知らない人だけど近場でコンサートやるっていうからちょっと来てみました」という、ゆるーい雰囲気が会場を包んでいた。このシチュエーションに秦くんの音楽、歌、声。さぞかしい気持ちよいライブになるだろうと、それは予想ではなく確信だった。

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GF1 + LEICA DG MACRO-ELMARIT 45mm F2.8


ライブは定刻ほぼぴったりに「アイ」で始まった。プロの人に向かって「お上手ですねぇ」と言うのは身も蓋もない褒め言葉だと思うけれど、そうとしか言いようがない。下手に出たり媚びたりしない、感動を盛ったりもしない、ただただお上手なだけ。2曲めにして、是非ともアコースティックで聴きたいと思っていた「やわらかな午後に遅い朝食を」が始まったときには、もう暑さは問題ではなくなっていた。否、実際は鼻頭が焼けるほどの陽射しだったけれど、その暑ささえ、心地よい記憶として刻まれていくに違いない。

今回は久保田光太郎氏(ギター)、島田昌典氏(ピアノ)、正木健一氏(パーカッション)をゲストに迎えており、ゲストが入れ替わり立ち替わり変化していくという構成。秦くんの弾き語りのときもあれば、4人で演奏ということもあった。てっきりずっと秦くん一人のオン・ステージだと思っていたので、これは嬉しい驚きだった(もうすでにご存知だった方も多かったようだ)。たとえば「猿みたいにキスをする」のような曲をやるなら、多彩な音が欲しくなる。そして実際、猿キス@GREEN MIND2011はラップも省き、実に落ち着いた大人のテイストに仕上がっていた。

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K-7 + FA31mm F1.8Ltd


出色だったのは、男女の口喧嘩を軽快に歌った「oppo」。サンプリングしたギターのフレーズをループさせることができる機械を使って、一人で演奏したのだ。山下達郎氏が自分の声を多重録音してアカペラ曲を作る、みたいなものだと思う。凄い、と思うのは、秦くんは我々の目の前でギターのフレーズを次々とサンプリングしていき、徐々に厚みのある音に仕上げる過程を見せてくれたことだ。もちろん、重ねるフレーズは事前に練っているのだろうし、お披露目する前に何度も練習をしたのだろう。しかし、私たちは好き好んで、自ら進んで色眼鏡を掛けているわけだから、まるで思い付いたように「こんなもんかな」という具合に、次々に短い小節を重ねていっては、「はい、出来た。ほい、歌うよ」とばかりに、あの声を最後に重ねられると、ややや秦坊はやはり神の子、天才か!と、ぼぉぉっとなってしまうのだった。

野外コンサートですら最初からスタンディングでないなんて、秦くんファンは本当に大人だな、と思っていたのも束の間。「今日もきっと」前後から我慢できなくなった人たちが立ち上がり、あっという間に総立ち。嗚呼、暑い。会場内に出ている屋台でかき氷を買ってこよう。「きょーも、きーっと、なやんでくじけそうーでもー」と、秦くんと一緒に歌いながら屋台へと向かう。何だか楽しすぎるぞ、おい。

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K-7 + FA31mm F1.8Ltd


少しだけ残念だったのは、カバー曲が聴けなかったことだ。もう3枚アルバムをリリースし、自分の曲が多くなってきたので、これは仕方がないことではある。しかし、youtubeやCDで聴く彼のカバーは素晴らしくて、何を歌わせてもオリジナルと同等に聴かせるのだ(特に、aikoのカブトムシなどは、数あるカバーの中でも秀逸だと思う)。

それでも、青い空と、ときどき吹く風と、宮崎の空気に溶けてゆく秦くんの透き通る声。この人はCDと実際の声にほとんど差がないけれど、実際の声を聴くと、声にも血管が通っているのではないかと思える。太くてしなやかな声の血管を波打ちながら、秦くん自身が耳に、心臓に入り込んで来るような気がするのだ。生きている声を、生きている私たちが受け取っている。

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GF1 + LEICA DG MACRO-ELMARIT 45mm F2.8


楽しい時間はあっという間に過ぎ去るもので、大概暑かったライブも気付いたら終わりに近づいていた。「青い蝶」や「新しい歌」など、まだ生では聴いたことがない曲も聴けたので、"秦くんライブ経験値"も少しアップ。今年は5周年なので、秋には福岡、大阪、東京で記念特別ライブを開催することも発表され、会場は多いに盛り上がった。これは、私もぜひ馳せ参じなければ。

そして最大のサプライズは、最後に残されていた。突然、秦くんがカメラクルーを連れて出て来たので、何事かと思っていたら、これから6/15リリースの新曲「水無月」のPVに使うための映像を撮りたいと言う。おお!これは"ファンがPVに映ってしまう"という、アレですか、こういうの初めての経験なのですけれど。しかも、君たちも歌ってほしいと仰る。すみません、ファンと言いながら、先ほど初めてフルで聴いたばかりなのですが...。前に立っている女の子は、すでに歌詞をすべて諳んじられるようで、余裕しゃくしゃくで歌う準備オーケーの様子だと云うのに!

というわけで、チラシに書かれている歌詞を見ながら、秦先生による歌唱レッスンを受けた後、数回の予行演習を終えて、いよいよ本番。本番では歌詞の書いてあるチラシは見てはダメ(つまり、あたかも知っているかのように前を向いて歌え)と指示されていたので、少々緊張。テイク1は、みなさん手も振らず歌うのに一生懸命すぎたようで、NG。そしてテイク2で、出来上がった感じはコチラ(この動画の最後の方に出てきます)↓



よーく目を凝らしたものの、我々は豆粒の状態でも発見できませんでした。この日の私は、いくつも扇風機が描かれた真っ青な半袖シャツを着ています。

もし万一発見できたとしたら、この動画で映っている人たちと同じように、タオルを頭にかぶり、うれしくて手を振り笑いながら、「なんぜんかーい」と歌っているはずだ。それだけ、素晴らしくheartwarmingなライブだった。このために宮崎まで来てよかったと思ったし、それは、その人の生まれた場所に集ってその人の歌を聴くという特別な体験だった。あの日、あそこに集った皆とあの体験を共有できたことも、とてもうれしく思う。

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